賃貸住宅を経営していると、入居者が家賃を払わないことがあります。口頭で注意してすぐに支払ってくれたら問題はさほど大きくなりませんが、何度言っても支払いをしない賃借人もいます。その場合、内容証明郵便で督促状を送らなければなりません。
そこで今回は、内容証明郵便によって賃料の支払い督促状を送る時の書き方と注意点を解説します。
1.内容証明郵便を送るタイミング
賃借人が賃料支払いを滞納したら、まずは電話や普通の郵便などで督促を行うことが一般的です。しかし、これらの手段では、支払いをしない人もいます。
滞納されたとき、1カ月程度の滞納期間では、賃貸借契約を解除することはできません。賃貸借契約は強い信頼関係に基づく契約なので、解除が認められるには、信頼関係を破壊するほどの強い背信性が必要だからです。
そこで、最低でも3カ月程度が経過してからでないと、解除は認められないと考えましょう。半年も経過したら、かなりの確実性をもって解除を認めてもらうことができます。
相手が賃料を滞納してから3カ月~半年ほど経過したタイミングで、内容証明郵便による督促状(兼解除通知書)を送ることをおすすめします。
2.内容証明郵便とは何か
内容証明郵便とは、相手に送った文書と同じ内容の控えが、差出人と郵便局に残るタイプの郵便です。これによって、相手に確実に督促状(兼解除通知書)を送ったと証明することができ、後に裁判を起こす時に証拠として利用することも可能になります。
3.内容証明郵便の書き方・注意点
※ダウンロードしてご活用ください。→家賃督促内容証明郵便(サンプル)
3-1.契約を特定する
次に、内容証明郵便による督促状に書く内容を説明します。まずは、契約を特定することが必要です。賃貸借契約書の契約年月日を確認して、「〇年〇月〇日に成立した貴殿と私の間の賃貸借契約に基づく…」などと書きましょう。
3-2.滞納賃料の支払いを求める
次に、滞納賃料の支払いを求めることが必要です。具体的に、いつからいつまでの賃料が支払われていないのかを記載して、合計いくらの未払賃料があるのかを明記します。
「〇年〇月から現在に至るまでの〇カ月分の賃料合計〇〇万円が未払いになっています」などと書き入れると良いでしょう。
3-3.相当期間内に支払うことを要求する
次に、滞納賃料を相当期間内に支払うことを求めます。法律上、契約解除の際には「相当期間を定めて催告」することが必要とされているので、期間の経過なしに突然解除することはできないからです。相当期間に特に決まりはありませんが、1週間~10日程度もあれば十分でしょう。
「上記未払い賃料合計〇〇円について、本書到着後1週間以内に、下記振込先に入金する方法にてお支払い下さい」と記載しましょう。
なお、相当期間を守られなかった場合には、解除通知後相当期間が経過したら、解除できるものと考えられています。
3-4.期間を過ぎたら自動解除する旨を記す
督促状には、相当期間内に支払いがない場合、契約を自動的に解除することも記載しましょう。この内容を入れておかないと、相当期間経過後に、改めて内容証明郵便で解除通知を送らなければならず、二度手間となってしまいます。
3-5.支払いも明け渡しも無い場合、訴訟を起こすこと
督促状内には、相手から相当期間内に未払い家賃の支払いもなく、物件の明け渡しも行われない場合には、訴訟を起こす予定があることも付記しておくことをおすすめします。これにより、相手にプレッシャーをかけることが可能になります。
4.配達証明をつける
内容証明郵便によって相手に督促状を送る時には、配達証明を付けることをおすすめします。配達証明とは、郵便局が、いつその郵便が相手に配達されたのかを証明してくれるサービスです。相手に配達されたら、郵便局からはがきが送られてきます。これによって、相手に確実に文書が届いたことが証明でき、届いた日時まで明らかになります。よって、相手から「督促状を受け取っていないから支払わなかった」と言い訳されることが防げるのです。
まとめ
以上のように、内容証明郵便によって督促状兼解除通知書を送付したら、後は相当期間内に支払いがあるかどうかチェックしましょう。支払いがなければ自動的に解除できる効果が発生するので、裁判所に訴え、未払い家賃の支払いと明け渡しを求めることになります。
今回のポイント
- 内容証明郵便を送るタイミングは、家賃滞納後3カ月~半年後
- 内容証明郵便を作成する時には、契約を特定し、滞納賃料を明確に記載し、相当期間を定めて請求する。支払いが無い場合に自動解除すること、支払いが無ければ訴訟を起こすことなどを記載する
- 内容証明郵便を送るときには、配達証明を付ける
今回の記事を参考にして、家賃を支払わない賃借人に賢く対処しましょう。