不動産投資

収益アップやWi-Fi搭載で付加価値も 自動販売機の設置・いまどきの事情

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収益アップやWi-Fi搭載で付加価値も 自動販売機の設置・いまどきの事情

一棟マンションやアパートを所有する大家さんは、収益アップを目的として、敷地内への自動販売機の設置を検討されたことがあるかと思います。
どのような契約で設置を行うのか、また、収益はどの程度か、など気になる点を今回は詳しく考えていきます。

1.自動販売機の設置と収益

一般的に、自動販売機のベンダーと呼ばれる設置会社と、自動販売機設置契約をして、売り上げに対する手数料を毎月受け取ることになります。売上手数料については、立地や物件によっては、ひと部屋分の賃料近くを見込めることもありますが、多くの場合は2万円程度が見込めれば優秀といえるでしょう。
売上手数料は立地により増減がありますが、130円で販売した場合、一本の売り上げに対して20~30円前後と考えられます。これが月間300本(一日平均約10本)売れたとして、売上手数料6,000~9,000円に2,000円程度の共用部電気使用料(※)が加算され、8,000~11,000円が収入となるかと思われます。
※電気料受領については2.に記載
最近の自動販売機は、災害用の備蓄飲料として利用できたり、Wi-Fi機能を搭載して居住者へサービス提供をしたりと、機器の付加価値も高まっています。自販機設置による空き缶放置の問題などをクリアできれば、設置のメリットはいろいろと考えられます。

2.契約時に交渉しておきたいこと

設置会社各社間の競争も激しくなっており、契約時には条件について十分な交渉が必要です。

2-1.売上手数料、設定価格について

売上手数料の一本単価を上げる交渉も必要ですが、交渉によって大幅に上がることは少なく、収入への影響も大きくはありません。設置会社側で、立地による各社のデータがあり、、売上手数料単価は決められているものと思われます。
消費者も、コンビニエンスストアやドラッグストアで飲料を購入するケースが増え、水筒持参という人も増えています。そんな中、飲料の価格を120円、100円と値下げする自販機も目にします。
このように、販売設定価格を下げることで売り上げを増やす(売上手数料単価は下がるが収入は増える)という選択もあります。周辺での販売価格も参考にしてみてください。

2-2.電気料の負担について

一方、電気料に関してはどうでしょうか。
一般的に、共用部電源によって自動販売機を稼働させますが、電気料以上の売上手数料が得られない場合は赤字になるという話を耳にします。
そうならないために、契約時に電気料を別途受領する条件で交渉しましょう。設置機器の使用電気量は、機器メーカー側から開示されており、月間使用電気量(電気料)が算出できます。
使用電気料は売上手数料とは別とし、保証入金額を確定させましょう。そうすることで赤字はなくなります。また、この件については、比較的交渉が成功しやすいので、売上手数料単価を上げるよりも効率的かと思われます。

2-3.協賛金について確認

協賛金内容を確認し、交渉しましょう。新規契約に伴う協賛金(設置協力金)を支払う設置会社は多く、設置時に3万円程度が受け取れます。
協賛金は、あくまで契約時における一時金ですが、更新時にも出るケースがあるので、受け取ることができないか確認してみてください。また、通常は二年契約自動更新が一般的ですが、仮に一年契約へ期間変更ができ、さらに更新時の協賛金が出る場合には、年間売上に協賛金の収入が加わる計算となります。

3.売上手数料とは別のメリット

3-1.「Wi-Fi設置について」

最近では、Wi-Fi機能を備えた自動販売機も見られます。コーヒーショップなどに設置されているものがイメージで、これにより周辺でフリーWi-Fi使用が可能となります。
建物の構造や環境にもよりますが、賃貸する居室では無料でWi-Fiが利用できることになり、空室募集時に他物件との差別化が期待できます。
フリーWi-Fiの設置費用や維持管理については、自販機設置業者の側で行われます。自販機の機器により、フリーWi-Fi設置の可否はありますが、昨今の通信環境整備の動向を考えると、設置可能な機器は増えていくことと思われます。
Wi-Fi設備をすることにより、自販機の電気料(電気量)に加え、新たな共用部の電気料(電気量)が必要となります。契約時の交渉次第ですが、仮に電気料2,500円程度の出金になっても、フリーWi-Fiを使えることは募集時の大きなメリットになるので、検討の余地がありそうです。

3-2.「不法投棄抑止効果について」

また、設置時にオーナーとして気になることが、空き缶などの放置問題です。基本的には、自販機の設置業者がゴミ箱を設置し、補充時にゴミ回収がなされます。
ゴミ箱について、景観上(またはスペース)の問題で、自販機の裏側または目の届きにくい場所に設置するケースも目にします。しかし、これは自販機の上や前面に空き缶が捨てられる原因となるので、ゴミ箱は自販機の横に置く必要があります。
ゴミ箱の空き缶や、周辺に放置された空き缶の回収状況が気になるようなら、早めに設置業者へ報告して対応を依頼しましょう。各社による差はありますが、大手業者ほど回収および周辺環境への対応精度は高いと思われます。
また、業者側から、空き缶放置やイタズラなどへの対策として、防犯カメラ併設機器への交換を提案されることもあります。目に余るようでしたら、撤去も視野に入れつつ、交換を検討する価値はあるでしょう。機器についてはさまざまなタイプがあり、薄型(奥行き約32㎝)で敷地内壁から接道(側溝)までのスペースに設置できるものもあります。売り上げとは別になりますが、暗い夜道の照明効果として、また粗大ゴミの放置抑止として、手書きの看板よりも効果があるのではないでしょうか。

まとめ

  • 設置会社との間で自動販売機設置契約をして、売り上げに対する手数料を毎月受け取る。
  • 売上手数料は立地により異なるが、130円の単価で20~30円前後。月の収益2万円程度を見込めれば優秀。
  • 契約時には、売上手数料や電気使用料の負担、契約・更新時の協賛金などを十分に交渉する。
  • Wi-Fi機能を備えた自動販売機も増えており、居住者へのサービスとしても付加価値が高い。
  • ゴミ箱の設置や空き缶の回収は業者が行うが、景観を損なわないよう状況をチェックすることが大事。

自動販売機の設置に関しては、物件の環境や、貸主の意向などにより、重視するポイントはさまざまかと思います。業者との打ち合せ(あるいは検討段階)において、設置イメージ写真を確認しながら、売り上げ見込みを立てましょう。設置の目的は、売上手数料による収入アップなのか、家賃や敷金礼金の減額などとは違った形での物件競争力アップなのか、あるいは、その両方なのか―。目的や懸念事項を考慮した上で、契約時の条件を交渉しましょう。
放置ゴミ問題の懸念事項もクリアして、デメリットのない状態で自動販売機を設置することが可能ならば、検討の余地は十分にあると思います。

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