不動産投資

FP投資家が伝授「備えて増やす」 一戸建て収益不動産の修繕計画

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FP投資家が伝授「備えて増やす」 一戸建て収益不動産の修繕計画

マンションなどを所有する場合は、月々の管理費や修繕費が徴収されるため、修繕に対する計画を意識はおのずと高くなります。
一方、一戸建てをお持ちの大家さんは、きちんとした修繕計画を立て、必要な資金の用意をしているでしょうか。極端なことを言えば、あなたが一戸建てを選んだのは「修繕積立金が無いから」ではないですよね。
収益不動産を持つことで得られる給料・年金以外の収入は、魅力的で心強いものです。しかし、不動産は株式などとは異なり、「劣化する資産」です。
したがって一戸建ての場合も、長期的な修繕計画を立て、修繕費の積立を行わないと、将来的に不測の費用負担が生じてしまいます。
今回は、資金の長期的な準備・計画を得意とするファイナンシャルプランナーが、不動産特有の悩みである「修繕費」についてお伝えします。費用の見積もりや、資金の準備・計画について、ご提案をしたいと思います。 

1.必要になる修繕項目と金額を見積もろう

ひと口に修繕費と言っても、具体的にどのような修繕が必要かわからないと、対策を立てにくいものです。
不動産の劣化を早める原因は、多くの場合「水」が原因となります。例えば、雨漏りなどが生じれば、家の劣化は加速度的に早まりますし、湿気の多い洗面台や台所なども床材が傷みやすくなります。水仕事が終わった後に拭く程度のメンテナンスで、寿命がぐっと長くなるほど、水の影響は大きいのです。
では、築年数ごとに発生する可能性の高い修繕項目をまとめてみましょう。

  • 築後5年ごと:シロアリの防蟻工事費用
  • 築10年後:照明器具交換やエアコンなどの電子基盤の入れ替え修理
  • 築20年後:給湯器の交換や屋根・外壁の防水工事
  • 築30年後:バルコニーの防水工事、洗面所・台所などの水周りの床の張り替え

これを見ると、やはり水に触れる場所の修繕項目が多いことがおわかりですね。
不動産の修繕費は、使われている建材によって大きく変わってきます。上記の項目を参考に、ハウスメーカーなどから見積もりをもらい、実際の修繕費を確認しましょう。

2.資金の準備をしよう

実際に修繕費を見積もってみると、築年数が経つに従って、高額の費用が必要となることがわかります。築10年程度までは、高額な修繕はあまり発生しないため、ああ、こんなものかと軽く見積もってしまいがちです。20年後、30年後までしっかり把握しておくことが大切です。
使用する建材や建物の構造によっても異なりますが、平均的な修繕費の目安は、延べ床面積30坪ほどの一戸建てで、30年で360万円程度といわれています。資金不足で修繕計画を実行に移すことができずに、入居者を逃してしまう恐れもあります。そうならないためにも、毎月1万円程度の金額を修繕費として積み立てていきましょう。

3.積み立てた修繕費を資産運用しよう

さて、修繕費の積み立てを行う際、せっかく積み立てたお金をそのまま寝かせておくのはもったいないことです。インフレによる建材の値上げなどに備える意味でも、資産運用を行って積立金を少しでも増やしておきましょう。そうすれば、修繕費が想定より高額になってしまった場合など、不測の事態にも備えることができます。
しかし、資産運用の手段は何でもいいという訳ではありません。用途が決まっており、いつそれが必要になるかわからないというのが修繕費の性質です。そのことを踏まえ、修繕費を資産運用する際は、「必要になった時に速やかに現金に戻すことができる流動性を有すること」「元金を損失する恐れがなるべく小さいこと」、以上の2点を重視します。
上記の性質に合致する金融商品の候補は、以下の通りです。

  • 低解約返戻金型生命保険:貯蓄性のある生命保険で、死亡時や解約時に保険金を受け取ることができます。この保険は解約後一定期間は払い込んだ金額を大幅に下回る金額しか受け取れませんが、所定の期間経過後は一気に利率が高まります。寝かせれば寝かせるほど有利なので、築年数経過後の修繕費準備との相性が良く、死亡時の保障にも使えます。
  • 定期預金:安全性は高いですが、現在は金利がいまひとつです。ネット証券を使うなどの工夫を。
  • 個人向け国債:安全性が高く、購入後1年経てば現金に戻せます。変動金利型なら金利の上昇に追随してくれるため、低金利のうちに購入しても問題はありません。
  • 融資型クラウドファンディング:最近市場規模を拡大している金融商品で、やや規模の小さい企業などに資金を提供して利息を得ます。担保設定のある案件でも5%以上の金利が付きます。もちろんリスクは大きいですが、預金・債券の金利では物足りない方には有力な選択肢です。

現在は低金利が続き、金利収入はわずかな金額ですが、早い段階から複利運用を行い金利収入を大きくしていきましょう。長期的に見た場合は、金利が上昇する余地は十分にあるので、長期の保険・債券運用を行う場合は注意が必要です。

まとめ

  • 一戸建てでも修繕計画は必要。どんな修繕項目があるか確認しよう。
  • 修繕費の見積もりは、毎月1万円程度が目安。計画的に積み立てよう。
  • 積み立てたお金を寝かせてしまうのはもったいないので、資産運用でお金に働いてもらおう。

最終手段としては、金融機関からの借り入れという方法もありますが、築年数が経過している場合などは十分な融資を得られない恐れがあります。
また、団信(※)に加入せずに相続に至り、手元資金が少ないケースなどでは、不動産の授与者が借入金の残額に驚いて相続放棄してしまうかもしれません。できるだけ月々の家賃収入から修繕費の準備ができるように計画を進めましょう。
※=団体信用生命保険…ローンの借り入れをしている人が死亡や高度障害になった場合に、金融機関がローン返済してくれるもの。

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