皆さんは動画投稿サイト「YouTube」の再生回数が断トツに多い動画をご存じでしょうか。
タイトルがヒントになってしまいましたが、そうです、ペットに関する動画なのです。
素人が自分のペットをスマートフォンで撮影した動画が1,000万回アクセスされていたり、動画で一躍人気者となったペットの写真集が出版されたりと、ペットブームは衰えを知らないようです。
大家さんの中には、賃貸物件の老朽化に伴って、または空室を埋める対策として、ペット可能に変更する検討をしている方もいらっしゃることと思います。
そこで今回は、ペット可物件(猫編)についてご紹介したいと思います。
1.ペット可能物件のニーズについて
近年までは、賃貸物件探しの必須条件として「ペット可」の項目にチェックを入れる人が多いのに対し、「ペット可」の賃貸物件数が少なく、需要と供給のアンバランスな状態が続いていました。
しかし、最近は少しずつですが、ペット可能物件が増える傾向にあるようです。
とはいえ、愛猫家にとっては家族も同然の猫ちゃんですが、ペット可の賃貸物件のうち、特に「猫可能」な物件は意外と少ないのが現状です。
最近、老朽化したアパートを「猫仕様」にリノベーションした「猫専用アパート」の募集をしたところ、見学者が殺到したという事例があることをご存じでしょうか。
2.ペット可能物件(猫可能)の問題点
物件の老朽化などにより、今までペット不可だった賃貸物件をペット可物件(猫可能)に変更するとします。その際に生じる、主な問題点を挙げてみます。
- 隣室の猫が家の中に入ってきた、夜中に猫の声で眠れないなど、近隣住民からのクレームやトラブル。
- 柱や襖、畳などに傷をつけられるなど、部屋の中の破損。
猫は犬に比べるとおとなしく、トイレのしつけも意外と簡単です。ただし、しつけをされていない猫だと、柱などに傷をつけることもあります。去勢されていない猫の場合は、大きな声で鳴き、マーキングして部屋を汚すといった恐れもあります。
こういった問題点を回避するには、以下のようなことに気をつける必要があります。
- 飼い主は、玄関や窓を開けっ放しにしない。
- 部屋に猫の爪とぎを置く。
- 飼い猫のトイレのしつけをする。
- 飼い主は入居前にペットの去勢をしておく。
これらのことを入居者に徹底してもらえるよう、契約時に取り決めることが大切になります。
3.ペット可物件の契約時に注意する点
2.で見てきたように、ペット不可物件からペット可物件に変更することにより、隣近所から苦情が
出ることも考えられます。また、退去時の清掃や原状回復の費用が、ペット不可の場合よりも多額
になる可能性が高いです。
そういった後々のトラブルを回避するために、契約の際には以下のような特約を付けることをおす
すめします。
- 猫は一代限りとする。
- 多頭飼いの禁止(多頭飼い可とする場合は、家賃の上乗せの提示など)。
- ワクチンを接種・去勢していること。
- 猫の写真を添付の上、名前、性別、年齢などを明記。
- 契約の際に、原状回復費用として敷金を預かる。
- ペット可に伴う家賃の上乗せなど(退去時の原状回復の費用に充当)。
4.ペット可にする場合のリノベーション
ペット不可の物件を、現状のままペット可物件に変更して賃貸することもできます。
あるいは、これからペットと一緒に入居される方のため、またオーナーの大切な資産を守るために、ペットが住みやすい部屋にリノベーションをして付加価値を付けるという選択肢もあります。
そこで、飼い主がペットと一緒に住みたくなるような人気物件にするには、どのようにリノベーションをすればいいのでしょうか。愛猫家目線で考えてみました。
- 部屋の間仕切りドアに猫専用の扉を付ける(猫が部屋を自由に行き来できる)
- キャットウォークを付ける(猫は高いところが好き)
- 猫脱走防止用内扉を付ける(猫の飛び出しを防止)
- 脱衣所を広めに改造して、コンセントを増やす(猫用トイレやペット用ヒーターが設置できる)
- クロゼットの設置(猫に触られて困るものを収納できる)
まとめ
- ペット可物件のニーズは高く、最近は物件数も増える傾向にある。
- ペット可の中でも「猫可能」物件は意外と少なく、「猫専用アパート」に人気の集まった事例がある。
- ペット可物件に変更する場合は、近隣とのトラブルや、室内の破損などの問題を考慮する。
- リスク回避のため、ペット可物件の契約時には特約を付けることが大事。
- ペットと暮らしやすいようにリノベーションすることで、物件に付加価値を付けられる。
老朽化した賃貸物件を人気物件にリノベーションすることを、課題として抱える大家さんもいらっしゃるでしょう。「猫専用物件」としたことで人気を呼んだ事例のように、「入居者が何を望んでいるか」という目線で考えると、新たなアイディアが生まれます。このことは、空室対策に応用できるのではないでしょうか。
実は、私も犬と猫を飼っております。ペットと一緒の暮らしを満喫できる、魅力的な「ペット可物件」への変更をお考えの方に、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。