法律

家賃滞納防止に一番有効なのは基本的な○○○○ ~滞納が起こった時の少額訴訟、強制退去までのステップについて~

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家賃滞納防止に一番有効なこと

物件を人に貸すことで負ってしまうのが、家賃滞納のリスクです。滞納を放置しておくことは、すなわち物件を無償で提供すること。それは大家さんにとって大きな不利益を生みます。
もしも家賃の滞納が起こった場合、大家さんはどのような対処をとれば良いのでしょうか?

1.滞納総額が100万円超!そうならないための初期対応とは

たとえば毎月の賃料が6万円の物件で、あるとき居住者からの入金がなくなったとします。
特に連絡をしないまま、滞納期間は1年となり、不払い総額は72万円にのぼりました。
相手に連絡しても一向に入金はなく、さらに3カ月が経過。そこで相手が失業しており、支払い能力のないことが発覚しました。そのまま居住されると不利益を生むばかりなので、一刻も早く退去してもらうことで話をつけました。結局、引っ越しまでに2カ月を要し、未払賃料は17カ月分の102万円に。しかし、回収の見込みはたっていません。
このように初期の対応を誤ると、最終的に家賃回収をあきらめざるを得ない事態となります。そうならないためには、初期の段階で適切な対応を取ることが重要です。

2.こまめな入金チェックが家賃滞納を防ぐカギに

家賃滞納を防ぐには、毎月賃料がきちんと支払われているか、チェックすることが重要です。確認を怠ってしまうと、支払い漏れに気づかないまま長時間が経ち、滞納賃料が膨らむケースとなりうるのです。

3.「いつか支払ってくれる」ではなく、すぐに手を打つ

家賃滞納があったら、「いつか払ってくれるだろう」と悠長に構えず、必ず“すぐに”督促しましょう。1回でも1日でも入金が遅れたら、すみやかに連絡を。督促の方法は、電話でもメールでもSMSでもかまいません。必ず「入金期日」を定め、期日を過ぎたら支払われるまで“繰り返し”督促することが大切です。

4.滞納期間が3カ月になったら、強制退去を考えて督促を

督促をしても相手が支払いに応じない場合は、どうすればよいでしょうか。
滞納期間賃貸借契約では、不払い期間が長くなると、貸し主側が賃貸借契約を解除して退去させることができます。目安として滞納期間が3カ月ほどになったころから、強制退去を視野に入れて対応しましょう。内容証明郵便を使って督促状を送ります。督促状には、「不払い賃料を全額一括払いすること」、「相当期間内に支払いが無い場合には、当然に賃貸借契約を解除して、不動産の明け渡し請求をすること」を書き入れましょう。

5.それでも入金がないときは、少額訴訟のステップへ

5-1.少額訴訟とは何か

賃料の不払いがある程度の額になったら、裁判を起こして相手に支払い請求ができます。少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求の事件について、通常よりも簡易な手続きで支払い請求できる裁判のことで、弁護士を使う必要がありません。勝訴すると、裁判官から相手へ未払家賃の支払い命令が下り、相手が応じない場合には、給料などの強制執行(差し押さえ)ができます。

5-2.少額訴訟を起こす方法

少額訴訟を起こす際には、簡易裁判所へ「訴状」と「証拠」の提出が必要です。「訴状」とは、相手に対する請求内容を法的にまとめた書類のことで、「相手と賃貸借契約をしていること」、「相手が賃料を滞納していること」、「現在の滞納賃料額」などを書き入れます。

そして、相手が賃料を滞納している事実を示す「証拠」をそろえます。たとえば入金の通帳や相手とのやり取りの履歴などです。SNSやメールの場合は、画面をプリントアウトします。請求金額によって数千円の手数料(収入印紙)と、予納郵便切手が必要です。

これらの書類と費用をそろえて簡易裁判所に提出し、提訴します。
※詳細は裁判所のHPを参照してください。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_04_02_02/

5-3.少額訴訟の進み方

提訴したら、簡易裁判所で期日が開かれます。相手(賃料の滞納者)と互いの主張を言い合い、提出済みの証拠を確認して、その日のうちに裁判官から判決が言い渡されます。期日の中で、裁判官の仲介によって話し合いが行われ、和解が成立するケースも多いです。和解が成立したら、その内容で相手から滞納賃料の支払いが受けられます。

成立しない場合には、判決によって相手から支払いを受けられ、それに応じない場合には、相手の財産に強制執行ができます。

5-4.少額訴訟の流れ・ポイントまとめ

  • 訴状を作る
  • 証拠をそろえる
  • 簡易裁判所に提出する
  • 相手から書面が出たら、その内容を確認して、必要に応じて反論する
  • 期日に出頭する
  • 話し合いをする
  • 和解ができなければ判決が出る
  • 判決に従って支払いを受ける
  • 支払いが受けられなければ強制執行をする

6.家賃滞納が発生!どうする?タイムスケジュール

  • 1日後、滞納があればすぐに督促する
  • 1日後~3カ月後、督促を継続する
  • 3カ月後、内容証明郵便で督促する
  • 3~6カ月後、少額訴訟を起こす
  • 6カ月後、滞納賃料の請求と建物明け渡し請求の裁判をする

まとめ

ここまで読んでいただいておわかりのように、少額訴訟を起こすためには、大家さんの貴重な時間とエネルギーを費やすことになります。
そのような深刻な事態とならぬよう、まずは毎月の入金確認作業が重要です。そして、実際に滞納があったら、すぐに督促をして、支払われるまで何度も請求を繰り返します。家賃滞納のリスクを負わないためには、支払い漏れがないかチェックする仕組みを、しっかりとつくることが何より大切です。

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