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連帯保証人が死亡・失踪してしまったら 家賃債務は誰が負うことになる?

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連帯保証人が死亡・失踪してしまったら 家賃債務は誰が負うことになる?

不動産を賃貸している場合、借り主に連帯保証人を付けることが一般的です。しかし、中には大家の知らない間に連帯保証人が死亡したり失踪したりするケースもあります。このような事態が契約期間中に起こったら、大家としてはどのような対応をとればよいのでしょうか。誰が家賃の保証をしてくれるのかも問題となります。
今回は、賃貸借契約中に連帯保証人が死亡または失踪してしまった場合の対処方法を解説します。

1.連帯保証人の役割とは?

賃貸借契約では、多くの場合に連帯保証人を必要とします。連帯保証人とは、主債務者(賃借人本人)と並んで、同じだけの責任を負う人のことです。借り主が家賃を支払わない時や、原状回復義務を果たさない時、また、契約に関連して大家に迷惑をかけた時の損害賠償義務などについて、全面的に責任を負います。
万が一、借り主が家賃の支払いを滞納することがあっても、大家は連帯保証人に対して支払い請求ができるので、安心と言えます。

2.新たな連帯保証人を立てる義務

それでは、契約中に連帯保証人が死亡したり失踪したりしていることが判明したら、大家はどのような対応をとることができるのでしょうか。
まず、この場合でも、主債務者である借り主自身が家賃をきちんと支払っているなら、ただちに困った事態にはなりません。問題は、将来的に借り主が支払いをしなくなった場合に備えた保証がなくなることです。
契約によって連帯保証人を用意することが定められている場合、連帯保証人がいなくなった時の対処方法については、民法に規定があります。
民法450条では、第2項において「債務者が保証人を立てる義務を負う場合、保証人に支払能力が無くなった場合には、債権者は債務者に対し、代わりの保証人を立てることを請求することができる」と規定されています。そこで、連帯保証人が死亡・失踪したら、大家は借り主に対して別の保証人を用意することを請求できます。

3. 保証人が立てられなければ別の担保で

しかし、新たな保証人を立てるよう大家が請求しても、借り主に心当たりがなく、応じられないケースがあります。借り主が連帯保証人を用意できない場合は、どのように対処したら良いのでしょうか。
この場合、法律は「債務者が代わりの保証人を立てられないときには、他の担保を提供することができる」と規定しています。ここで言う「他の担保」とは、土地や建物などの物的な担保のことです。
したがって大家は、借り主の持っている不動産や動産などの財産を担保に入れるよう要求することができます。

4.連帯保証人の債務は相続される

それでは、借り主が別の連帯保証人を用意できず、物的な担保も用意できない場合には、誰に家賃の保証をしてもらえば良いのでしょうか。
実はこの場合、連帯保証人の相続人に支払いを請求できる可能性があります。法律上、借金などの債務も相続の対象となるため、連帯保証人としての地位やその債務も相続されるからです。ただし、相続は死亡のケースでしか起こらないため、失踪した場合には、失踪宣告を出してもらわない限り、相続人に支払い請求をすることはできません。
連帯保証人が死亡した場合、連帯保証人に配偶者と子どもがいたら、配偶者と子どもがその地位を受け継ぎます。なので、万が一借り主が家賃の支払いを滞納したら、もともとの連帯保証人の配偶者や子どもに支払い請求をすると良いのです。
ただ、相続人に相続放棄という手続きをされてしまったら、その相続人は、当初から相続人ではなかったことになるため、連帯保証人としての地位や責任を相続することもなく、債務の支払い請求もできなくなります。

5.契約書に盛り込みたい内容

以上のように、連帯保証人が死亡・失踪した場合、大家は法律上の保護を受けることができますが、そのような場合に備えて、賃貸借契約に以下のような内容の条項を盛り込んでおくことをおすすめします。
「連帯保証人が死亡や無資力、所在不明等の事由によって連帯保証の責任を果たせなくなった場合や、貸し主が連帯保証人として適当でないと判断した場合、借り主は、速やかに貸し主が認める者へと連帯保証人を変更する」
このような条項を入れておくと、連帯保証人がいなくなった場合に起こるトラブルを回避しやすくなります。

まとめ

  • 連帯保証人が死亡・失踪したら、借り主に別の連帯保証人を立てるよう要求できる。
  • 借り主が別の連帯保証人を用意できない場合、別の担保を立てるよう要求できる。
  • 連帯保証人が死亡または失踪宣告を受けた場合、連帯保証人の相続人に家賃支払いを請求できる。
  • 賃貸借契約書内に「連帯保証人が死亡・失踪などした場合には、借り主は貸し主が適当と判断するものに連帯保証人を変更すべき」という条項を入れておくとトラブル防止につながる。

以上のように、連帯保証人が死亡・失踪しても、保証がなくなるわけではありません。落ち着いた態度で、借り主に代わりの保証人を立てるよう要求しましょう。それが実現されない場合は、今回の記事を参照に、別の方法を検討しましょう。

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