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上手に見積もりを取るポイント③  ~大規模修繕工事編~

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上手に見積もりを取るポイント③  ~大規模修繕工事編~

「うちもそろそろ大規模修繕工事をするときではないか」そうお考えの大家さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

マンションやアパートには定期的に大規模修繕工事を行うことが必要です。今回は、少しでも費用を抑えるためにはどのように見積もりを取ればいいのか、また、見積もりを取る際にどのようなことに注意すればよいのかについて解説します。

1.どれくらいの周期でするべきか

大規模修繕工事に関して、「○年ごとにしなければならない」というような法律上の規定は、今のところありません。ところが、平成20年に建築基準法が改正され、タイル貼りやモルタル仕上げなどのマンションでは、竣工後もしくは外壁改修後10年経過した場合、3年以内に外壁の「全面打診調査」の実施が義務付けられました。そのため、一般的には12年に一度行うのがよいと考えられています。

外壁の全面打診調査には足場を組むことが必要であり、そのタイミングで足場が必要な大規模修繕工事を行うのが好都合であるとの考え方から、大規模修繕工事は12年(13年以内)ごとに行うのがよいとされているのです。

ただし、サイディングの外壁のシーリングだけ打ち直す、2階建てのアパートなどで足場を組まずに外壁や屋根の必要な箇所のみ修繕するなど、状態が悪化してきたときにこまめにメンテナンスをしながら、大規模修繕の間隔を空けるオーナーもいます。

このように、外壁の一部崩落による危険への防止策がすでに講じられている場合は、全面打診調査が例外的に除外されることもあります。マンションの外壁のタイプや自治体の決まりによっても異なるので、事前に確認が必要です。

2.見積もりを取る前にすること

見積もりを取る前の準備段階として、以下のようなことを行うのが必要です。

1.建物・設備の劣化診断を受ける

建物内外の設備の劣化度合いを見て、工事の必要性や緊急度を明確にして、優先順位をつけます。劣化診断は、できれば複数の業者に依頼し、複数の診断資料を持っておくことをおすすめします。普段から管理業務を委託している管理会社や施工業者、建築事務所に診断を依頼するとよいでしょう。

2.修繕箇所を検討する

劣化診断と長期修繕計画を踏まえ、どの部分をどのように修繕するかを検討します。建物の保全・安全対策が最優先となりますが、玄関をオートロックにする、セキュリティシステムを導入するなど、設備のグレードアップを図るのもよいでしょう。足場が必要な外壁や屋根の工事は、まとめてこの機会にしてしまうとコストが削減できます。

3.工事のスケジュールを考える

入居者が最も多く入る可能性のある3月までに工事を完了しようとすると、最低でも2月下旬までには工事を終えておきたいものです。管理会社と相談しながらそれに合わせてスケジュールを組みましょう。

4.施工業者の選定

各施工業者のウェブサイトを閲覧したり、資料を取り寄せたりして施工例を確認し、見積もりの依頼先を4~5社に絞っておきます。大家仲間や管理会社から、懇意にしている業者を紹介してもらうのもよいでしょう。

5.資金調達方法を考える

マンションなどでは修繕積立金を徴収していることも多いですが、国や自治体へ補助金を申請できる場合もあります。申請できるものがないかどうかチェックしておきましょう。

3.見積もりの際の注意点

見積もりを取る際には、以下のようなことに注意しましょう。不明点があれば遠慮なく業者に問い合わせたり、詳細な見積もりを出してもらったりしましょう。

1.さまざまな施工業者から見積もりを取る

100万円以上の大きな金額になることが多いので、見積もりは最低3社以上、できれば4~5社から取ることが望ましいです。どんな施工にも対応している業者より、大規模修繕工事を専門に扱っている業者のほうが、より正確な見積もりがもらえることが多いです。さまざまな業者から見積もりを取ってみましょう。
管理会社に管理をすべて委託している場合、見積もり金額が相場より高額になる場合があります。チェックのためにも、相見積もりを取ることをおすすめします。

2.アフターメンテナンスの実施の有無

見積もりを取る際に、工事終了後のアフターメンテナンスをしてくれるかどうかも確認しましょう。何年間どこまで保証してもらえるか、有料か無料かも同時に確認し、書面に記録しておきます。

3.時期によっては工事費が高くなる

1~2月などは、どの施工業者も繁忙期を迎え、人手不足になります。そのため、その時期に工事を依頼する場合は、閑散期に比べて工事費が高くなることがあります。また、2020年の東京オリンピックが近づくにつれて工事費の高騰が懸念されていますので、今後の動向に注意が必要です。

4.役所への申請費用がプラスされることも

工事が大規模になる場合、地区町村役場への道路使用許可申請や建築確認申請が必要になり、その費用が見積もりの中に追加されることもあるので覚えておきましょう。

まとめ

  • ・大規模修繕工事は12年ごとに行うのが一般的だが、一部例外もあるので自治体などに確認が必要。
  • ・見積もりを取る前に、専門業者による劣化診断を受けて工事の必要性や緊急性を把握し、工事を行う箇所を決定する。また、見積もりを取る業者やスケジュールについても考えておく。
  • ・さまざまな業者から複数の見積もりを取り、比較検討する。その際、アフターメンテナンスや追加費用などについても確認する。

竣工からどれくらい年月が経っているかによって、修繕が必要な個所も変わってきます。きちんと劣化診断を受けた上で、管理会社と相談しながら、どの部分でどのような工事を行うべきかを考えていきましょう。

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