税金・相続

相続した土地が貸地の場合、 評価額はどのように決められる?

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相続した土地が貸地の場合、 評価額はどのように決められる?

自分の親が亡くなったときに、土地や建物を相続する人は少なくないのではないでしょうか。
国税庁の報道発表資料によると、平成27年の時点で相続財産に占める金額の割合は、土地が38.0%、建物が5.3%となっていました(※)。
したがって、金額ベースではありますが、相続財産の中でおよそ4割を不動産が占めていることになります。
では、もし相続した不動産が貸地だった場合、その土地は相続財産としてどのように評価されるのでしょうか。その評価額の算出の仕方について見ていきましょう。

(※)国税庁「平成27年分の相続税の申告状況について」

1.借地人の建物がある土地の場合

借地権が設定され、借地人の所有する建物が建てられている土地を「貸宅地」と呼びます。
貸宅地の場合は、実際に土地を使用しているのは借地人なので、土地の所有者が自由にその土地を使用することはできません。そのため、自分で好きなように使える自用地と比べて評価額は下がります。

貸宅地の評価額は、自用地としての評価額から借地権の価額を控除して算出します。借地権割合は地域ごとに決められており、一般的に、土地の評価額が高い地域ほど借地権割合も高くなる傾向があります。借地権割合は国税庁のホームページで確認することができるので、自分が所有している土地の借地権割合がどれくらいになっているのか、一度調べてみるとよいでしょう。
たとえば、自用地としての評価額が5,000万円、借地権割合が70%の土地では、評価額は

5,000(万円)×(1 – 0.7 )= 1,500(万円)

となります。

自用地と比べて、だいぶ評価額が下がることがお分かりになるのではないでしょうか。
ただし、「親が所有している土地の上に子どもが家を建てて住んでいるが、地代を支払っていない」といったケースは「使用貸借」にあたり、税務上では借地権がないもの(借地権が0%)として扱われます。そのため、この土地の評価額は自用地としての評価額と同一の金額になります。

2.貸家が建っている土地の場合

自分の土地に貸家を建てて第三者に貸している土地のことを「貸家建付地」と言います。
土地や建物を所有しているのは土地の所有者ですが、実際に建物を使用しているのは居住者(賃借人)です。したがって、この場合も土地所有者は土地や建物を自由に使うことができないことになり、その分相続財産としての評価額は下がることになります。

評価額の具体的な計算方法は、自用地としての評価額から、借家人が敷地を自由に利用する権利に相当する価額を差し引いて計算します。
たとえば、自用地としての評価額が5,000万円、借地権割合が70%の土地では

5,000(万円)×(1 – 0.7 × 0.3(借家権割合))= 3,950(万円)

となります(借家権割合は財産評価基本通達で30%と定められています)。

3.貸マンション・アパートが建っている場合

また、同じ貸家でも貸マンション・アパートが建っている場合は、「賃貸割合」によって評価の仕方が異なります。賃貸割合とは、貸家の全床面積に対する賃貸部分の床面積の割合のことです。貸マンション・アパートの場合は、遺産相続が開始した時点での「賃貸割合」がポイントになります。

たとえば、AマンションとBマンションという2つのマンションがあり、固定資産税評価額が両方とも3,000万円だとします。Aマンションはとても人気があって賃貸割合は80%ですが、Bマンションはあまり人気がなく賃貸割合は30%です。この場合、相続財産としての評価額はそれぞれ以下のようになります。
Aマンションの場合:

3000(万円)− 3000(万円)× 30% × 80% = 2,280(万円)

Bマンションの場合:

3000(万円)− 3000(万円)× 30% × 30% = 2,730(万円)

つまり、Bマンションは人気のAマンションに比べて評価額が450万円も高くなることがわかります。賃貸割合の低いほうが評価額としては金額が高くなるのです。

まとめ

  • 貸地は、土地所有者が自由にその土地を使用したり処分したりできない分、相続財産としての評価額は大幅に下がる。
  • 自分が所有する土地の上に借地人の建物が建っている「貸宅地」の評価額は、自用地としての評価額から借地権の価額を控除して計算する。
  • 自分が所有する土地の上にある建物第三者に貸している「貸家建付地」の場合は、借家権割合も考慮に入れて評価額を計算する。
  • 自分が所有する土地にマンションやアパートを建てて第三者に賃貸している場合は、賃貸割合が高いほど評価額は低く、逆に賃貸割合が低いほど評価額は高くなる。

これまで見てきたように、貸宅地と貸家建付地では、評価額が大きく異なります。
そのため、相続財産の中に貸地があり、なおかつ建物が建っている場合には、その土地が貸宅地なのか貸家建付地なのかをまず把握しましょう。また、借地権割合も地域によって異なるため、きちんと確認した上で相続財産の評価額を算出することが重要です。

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