不動産投資

多彩な物件に少額から投資できる 新しいニーズに応える不動産投資

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多彩な物件に少額から投資できる 新しいニーズに応える不動産投資

不動産投資は、多くの富裕層も実施しており、「投資の王道」だと私は思います。
しかし、投資初心者の資金力では、購入可能な物件がレジデンス(住居)系に偏りがちです。そのことが、少子化や人口減少の問題と結び着いて「将来は住んでくれる人が居なくなるかもしれない」などの不安につながり、なかなか踏み切れない人も少なくありません。

「住居以外なら挑戦してみたいが、少ない自己資金で不動産を購入できるだろうか」。そんなニーズに応えて開発されたのが、小口化不動産投資や、J-REITをはじめとした証券化不動産投資です。
下記の表は、一般的な実物不動産と、小口化不動産の二つのタイプ(2.で詳しく解説)、J-REITをはじめとした証券化不動産、それぞれの特徴を簡単にまとめたものです。


表.各不動産投資方法の特徴のまとめ

1.不動産投資の収益構造について

投資には2種類の収益構造があります。
ひとつは「インカムゲイン」と呼ばれているもので、所有する資産から得られる利益です。株式なら配当金、債券なら利息、不動産なら賃料収入がこれに当たります。
もうひとつは「キャピタルゲイン」です。所有する資産を売却した場合に得られる利益のことですが、建物は劣化する資産なので使用年月を経るごとに価値を減じていきます。

不動産の収益構造として、賃貸によるキャピタルゲインと売却によるキャピタルゲインの合計が不動産投資の利益となります。買った時より高く売れる不動産は、なかなかありません。なので、価格の下落幅の小さいエリアを選んで購入することが重要と言えます。
なお、2.と3.で解説する小口化不動産や証券化不動産の場合、インカムゲインは月々の賃料収入の分配となります。

2.小口化不動産投資の特徴とは?

一般の人が実物不動産投資を行う場合、問題点として考えられるのは、以下のようなものではないでしょうか。

  • 投資金額が大きい(資金力が必要)。
  • すぐに売却できない(流動性に劣る)。
  • 購入物件が住宅系に偏ってしまう。

小口化不動産投資は、こうした問題を解決するために考案された投資方法です。
一つの不動産を複数の投資家でお金を出し合って購入し、所有する不動産の権利(持分割合)を出資額に応じて按分します。一人で購入するよりも資金が多くなるので、オフィスや大規模駐車場、太陽光発電所など、さまざまな物件への投資を行うことができます。
投資家は、お金を出し合う際に組合を組織します。その組合の作り方によって、2種類の形態に分けることができます。

(1)任意組合出資

複数の投資家で不動産事業を共同経営します。
不動産から得られる利益と不動産の所有権を有しますが、共同事業を営むと解釈されるため、責任範囲も無限責任となり、出資額以上の損失を被る可能性もあります。
また、所有する不動産を現金化する際には、自身で買い手を見つける必要があるので、流動性は比較的劣ります。
相続時は事業用地とみなされるので、評価額は相続税評価額が採用され、「貸付事業用宅地等の特例」が適用できる可能性があり、節税に効果があります。

(2)匿名組合出資

事業者が複数の投資家から出資を募り、不動産事業を行います。
投資家は「お金を貸しただけ」と解釈され、事業者が出資金で購入した不動産などに持分を有しません。投資家は、不動産からの収益と売却後の代金の分配を受ける権利を有します。通常の融資と同様に、借り手は一定期間はお金を返さなくても良い「期限の利益」が付与されており、一定期間は解約ができないなど、流動性には制約があります。
また、特有のリスクとして、「事業者の破たん」があります。その場合、出資金に関しては通常の債務者と同列に扱われ、事業者の保有財産を売却して返済を受けることになります。財産が潤沢であれば十分な返済を受けられますが、破たんした事業者の弁済率割合は平均で15%程度となっています。
その反面、事業者の経営には責任を負っていないので、責任範囲は有限責任となり、出資額以上の損失を被ることはありません。
相続時は、事業者の経営状況を勘案した時価での評価が行われ、相続税評価額を減じる特例などは利用できません。

補足

税制面では、任意組合出資が不動産所得に区分されるのに対して、匿名組合は雑所得に区分されます。
不動産所得は給与所得や事業所得と損失を通算することができますが、雑所得は損失を通算することができません。そのため、損失を出した場合は、実物不動産や任意組合出資の場合は、所得税や住民税が減額されますが、匿名組合出資ではこれを受けることができません。

3.J-REITの特徴とNISAとの相性

2.で挙げた実物不動産投資の問題のうち、「すぐに売却できない」という流動性の問題について、小口化不動産投資では十分に解決できないことがわかりました。
そこで、その問題を解決したのが、不動産を証券化し、証券市場に上場することで流動性を確保したJ-REITです。

J-REITは不動産資産を裏付けとした上場証券で、投資家は株式市場で自由に売り買いできるため、数日で現金化することができます。潤沢な資金で、小口不動産投資とは比較にならないほど大規模な不動産投資が可能となり、リゾートホテルやショッピングモールなどを対象に数千円から投資を行うこともできます。
最大の特徴は、「倒産隔離」の仕組みです。証券は裏付けとなる資産に基づいて発行されるので、事業者が破産しても投資家の資産である不動産は保全される仕組みになっており、小口化不動産よりも安全性に優れています。

J-REITから得られる分配金は配当所得に該当し、売買による損益は株式などの譲渡所得に該当し、申告分離課税となるなど株式のそれに準じます。NISAを利用しての投資も可能となり、年間120万円までの投資ならば、得られた利益を非課税とすることができます。J-REITは分配金の割合が多いので、NISAとの相性は良好ですが、他の不動産投資方法と比べると、株式市場で日々評価されるので値動きが比較的大きくなります。
また、相続税の評価額は時価での評価となり、軽減措置を受けることはできません。
税制の面では、株式の譲渡益などの申告分離課税内での損益通算のみが可能となっています。

まとめ

  • 実物の不動産を購入するよりも少額から始められ、購入可能な物件の種類も多様な不動産投資として、小口化不動産投資や、J-REITをはじめとした証券化不動産投資がある。
  • 実物不動産、小口化不動産、証券化不動産の主な相違点は、購入した不動産に権利(持分)を有するか否かと、責任範囲や税制面での取り扱いが異なる点である。

それぞれに、メリット、デメリットがあります。今回の記事を参考にしていただき、ご自身に合った不動産投資の方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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