近年、TVや雑誌などでシェアハウスが注目を浴びていることを、皆さんはご存じかと思います。
特に東京都内では急激にその数が増え、地方都市でもシェアハウスを経営する大家さんや企業が少しずつ増えている状況から、今回はシェアハウスの経営についてお話ししたいと思います。
1.シェアハウスとは何か
シェアハウスとは、一つの住居を複数の人で共有して暮らす「他人とシェアする住居」のことです。
各々が専用の個室を確保できますが、バス・トイレ・台所・リビングなどは共有スペースとなります。一人暮らしを始めるには、色々な不安があるものですが、特に都会になるほど高額な家賃が問題となります。そこで、高額な物件でも住居をシェアすることで、割安で上手に住むことが出来るのがシェアハウスの特徴です。
2.シェアハウスのはじまり
古くは江戸時代に、棟続きの長屋に住んで井戸や厠(かわや=便所)を共有して生活をしていました。時代劇にもたびたび登場する江戸庶民のライフスタイルと言えば、イメージできるかと思います。
1980年代には、来日外国人向けのゲストルーム的なシェアハウスも登場し、居住空間であるだけでなく、入居者同士の交流の場としての機能も発揮していました。近年では、日本人が多数を占めるシェアハウスへと移行しております。
3.近年のシェアハウス経営の特徴
シェアハウスの経営形態は大きく2つに分けられ、生活者自身が自己責任で企画・運営をすべて行う「個人経営」と、外部の事業体が企画・運営をする「企業経営」があります。
個人経営
家主自らがファミリー向けマンションや一般住宅に住み、個別に賃貸するタイプや、賃借人が代表で家主と賃貸契約をして、部屋の広さに応じて家賃や光熱費などを設定し、共同で住むタイプなどがあります。
企業経営
シェアハウスを専門的に管理・運営する企業経営では、寮や一般住宅、ファミリー向けマンションなどを入居者が快適に住めるようにリノベーションするケースが一般的です。共有スペースで入居者同士の交流が図れる様な付加価値の高い住宅に、割安で入居できることを特徴としています。
4.コンセプト型シェアハウス
最近、一般のシェアハウスと差別化を図るために、入居者のニーズに合った「コンセプト型シェアハウス」が注目されています。例えば、下記のように、同じ趣味や目的を持つ仲間と交流ができるスタイルのものです。
- 国際交流ができる「家中留学シェアハウス」
- 猫のお世話ができる「猫シェアハウス」
- 農業の体験ができる「古民家シェアハウス」
ここに挙げたのは一例ですが、このような同じ分野・趣味に特化した「コンセプト型シェアハウス」は特に若い世代に人気があり、年々増えつつあります。
5.シェアハウス経営のメリット・デメリット
同じ家の中に他人が複数人住むシェアハウスの経営においては、一般の賃貸経営とは違う問題も発生します。
そこで、シェアハウス経営のメリット・デメリットについて考えてみました。
メリット
- 諸経費や家賃が安いので入居者が入りやすい。
- 付加価値の高い住宅を作ることにより、高い家賃を設定することも可能。
- 空室が出ても他の入居者の家賃が入るので、家賃収入がゼロにはならない。
- 一般の賃貸契約(普通賃貸借契約)に対して、シェアハウスは短期間契約が可能な契約(定期借家契約)をするため、トラブルを回避しやすい。
デメリット
- 同じ住居に複数人が住むことにより、入居者同士のトラブルが発生しやすい。
- 自主管理が大変(共用部分の消耗品の交換・修繕、クレーム対応など)。
- 管理料が高い(管理業者に委託する場合、家賃の約20~25%の管理料の経費がかかる)
まとめ
- 一つの住居を複数人で共有する「シェアハウス」が近年増え、特に都心部においては家賃が割安になるため、ニーズも高い。
- シェアハウスの経営には「個人経営」と「企業経営」がある。
- 同じ分野・趣味に特化した「コンセプト型シェアハウス」は若い世代を中心に人気を集めている。
- シェアハウス経営のメリットは、入居者が見つかりやすい、家賃収入がゼロになりにくい、「定期借家契約」のためトラブルを回避しやすいなどの点がある。
- シェアハウス経営のデメリットは、入居者間のトラブルが起こりやすいこと、自主管理や管理料の問題などがある。
一人暮らしに不安がある、安い家賃で都心に住みたい、ペットを飼ったことがないが飼ってみたい、同じ趣味の人たちと交流したい…など、世代のニーズにマッチしたシェアハウスを経営する際には、企画・運営において入念な計画を立てることが重要です。
シェアハウス経営をお考えの大家さんに、この記事がお役に立てば幸いです。