自主管理

入居者の騒音トラブルに大家はどう対処すべきか?

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入居者の騒音トラブル

不動産賃貸業をしていて、対応に困るのは、入居者からの苦情ではないでしょうか。特に、それが他の入居者に対するものであった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
この記事では、アパートの入居者から騒音の苦情が出た場合について、取り上げたいと思います。

1.賃貸借契約の前提として

1-1.平穏な環境を提供する義務

賃貸借契約の前提として、オーナーは借り主に対して、通常の性能を有する居室を提供する義務があります。そこには「平穏な環境」を提供するという意味が含まれています。したがって、騒音問題を放置しておくと、借り主から契約違反で損害賠償請求を受けることもあります。

1-2.騒音は契約違反と見なされる

賃貸借契約書には、通常、借り主の義務として、禁止事項が記載されています。
例えば、「大音量でテレビ、ステレオ、楽器等の演奏その他の騒音で近隣に迷惑をかける行為」というように、多くの場合、騒音に対する禁止事項が挙げられています。よって、他の入居者に迷惑をかけるような騒音は、借り主の契約違反となります。

なお、このような禁止事項の記載がない場合でも、賃借人には、用法遵守義務(借りている物の性質に応じた利用方法を守って使用する義務)があります。賃借人は、住居を借りている限り、住居としての通常の利用方法を守らねばならず、他の入居者への迷惑となる行為は、通常の利用方法とはいえず、用法遵守義務違反となるでしょう。
 

2.どこまでが生活音で、どこからが騒音?

2-1.「受忍限度」について

では、どのくらいの騒音が、契約の禁止事項違反や用法遵守義務違反と見なされる
のでしょうか。
人が社会の中で生活する限り、他人の生活音と無縁ではいられません。ある程度はお互い様という部分もあります。そこで、社会通念上、相当な程度の生活音は、お互いに受忍しなければならないとされています。これを「受忍限度」といいます。
受忍限度を超えるような騒音を借り主が起こし続けている場合に、契約の禁止条項違反、あるいは用法遵守義務違反となります。

2-2.騒音の判断基準は?

そこで、まず、「騒音」とされた音が、受忍限度内のものかどうかを確かめる必要があります。
騒音について、環境庁が示す基準は、昼間は、55dB(デシベル)、夜間は45dBとされています。参考までに、目安を挙げると、家庭用エアコンが約41~59dB、家庭用換気扇が約42~58dB、洗濯機約64~72dB、掃除機約60~76dB、テレビ約57~72dBとなります(東京都環境局ホームページより)。
距離が離れると音は小さくなりますし、これを1dBでも超えたらいけないというものではなく、その騒音の理由、頻度、発生時間、継続時間、回避可能性などさまざまな要素を考慮した上で、受忍限度内かどうかが判断されます。

3.騒音クレームに取るべき対応は?

3-1.張り紙や個別の注意

騒音の苦情が寄せられた場合、大家さんはどのように対応すべきでしょうか。
多くの方が最初に行うように、物件内の掲示板に「静かにしていただくようお願いします」などの張り紙をしたり、騒音を出している入居者に個別に注意をしたり、ということが考えられます。
個別に注意する場合には、一方的に注意するのではなく、騒音を出しているとされる入居者の言い分も、きちんと聞くことが大切です。

3-2.周辺の住戸への聞き取り

さらに、他の住戸への聞き取りもしておいた方がいいでしょう。周辺の部屋の入居者にも、騒音が聞こえるかどうか、どのような騒音が聞こえるかなど、きちんと聞き取りをして、結果を記録しておくべきです。
ごくまれにですが、騒音が聞こえると苦情を言う入居者の側に問題があるケースもあります。本当に騒音があるのかどうか、客観的に判断するべきです。

4.注意しても騒音がなくならない場合には?

4-1.退去を求めるには「信頼関係の破壊」が必要

騒音を出している入居者が、生活態度を改めてくれない場合、騒音被害を受けている入居者から、オーナーの契約上の義務違反(平穏な住居を提供する義務違反)として、損害賠償請求を受ける恐れがあります。また、騒音を嫌って退去が相次ぎ、その部屋の周辺が空室になってしまう恐れもあります。
このような事態を考えると、オーナーとしては、騒音を出している入居者を退去させたいと思い始めるでしょう。

賃貸借契約は、貸し主と借り主の継続的な契約です。よって、両者の間の信頼関係が破壊されたと認められることによって、貸し主の側からの賃貸借契約の解除が認められ、借り主に退去を求めることができます。
例えば、家賃を1か月滞納しただけでは、借り主に退去を求めることはできません。3カ月程度、家賃の滞納を続けたなどの事実があって初めて、「賃貸人と賃借人の信頼関係は破壊された」と判断され、退去を求めることが可能になります。

騒音の場合にも、受忍限度を超える騒音があり、これについて、何度も注意したり、話し合ったりするなど、オーナーも努力したが、騒音が収まらなかったという事実が必要といえます。他の入居者とのトラブルが相次いでいる、退去が相次いでいる、警察沙汰にまで発展したというような事情があって、ようやく「信頼関係が破壊された」と判断される傾向があります。
これは、騒音があれば警察を呼べば良いということではなく、警察沙汰になるほどのトラブルが起こったことが、判断のひとつの要因になるということです。

4-2.騒音問題の初期から証拠を残す

「信頼関係が破壊された」という事実は、オーナーが証明しなければなりません。
そのためには、初期の段階から証拠の収集を心がけておくことが重要です。

騒音被害を受けている入居者から苦情が出始めたら、いつどのような内容の苦情があったのか、きちんと記録しておきましょう。その際に、何時ごろにどのような音がするのか、それがどれくらい続くのかなど、具体的に聞き取っておく必要があります。

また、自分が苦情に対して取った対応(張り紙をした、騒音の元とされる入居者に個別に注意したなど)や、その時のやり取りの内容も記録しておきましょう。
騒音被害を受けている入居者に、簡易な騒音計などで何dBくらいの騒音なのか図ってもらうことも有益でしょう。
もっとも、裁判を考える場合には、最終的には、業者に騒音を測定してもらうことも考えるかと思います。

まとめ

  • オーナーは借り主に「平穏な環境」を提供する義務があり、騒音はそれに反する。
  • 借り主が騒音で他の入居者に迷惑をかけることは、契約の禁止条項違反、あるいは用法遵守義務違反である。
  • ある程度の生活音は受忍すべきで、「受忍限度」を超えたものが騒音となる。
  • 騒音のクレームが出たら、張り紙や個別の注意など対応を取り、周辺の入居者にも状況を聞き取る。
  • 退去を求める場合には、貸し主と借り主の間の「信頼関係が破壊された」ことを証明する必要があり、そのために騒音クレームの初期段階から証拠を記録しておく。

入居者同士のトラブルには、双方の感情も絡んでくるため、間に入らざるを得ない大家さんにとって、かなりのストレスになります。トラブルが深刻化する前に、弁護士などの専門家に適宜相談したり、管理会社にその建物の管理を依頼するなどの対応を考えた方がいいこともあります。慎重な姿勢でトラブル解決にのぞみましょう。

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