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オーナーから仲介業者へ角を立てない 入居申し込みの断り方について

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オーナーから仲介業者へ角を立てない 入居申し込みの断り方について

賃貸経営をしていると、時には入居を希望するお客様を断るケースがあるかと思います。
今回は、そんな時、上手にお断りする方法をお伝えしたいと思います。私の考えうる限りではありますが、少しでもご参考になれば幸いです。

1.入居者募集の流れをおさらい

まずは、オーナーが入居者を募集する際の流れを確認します。
入居者が退去→清掃→仲介店に募集依頼→お客様の物件内覧→申し込み→オーナーの入居審査→契約書記入捺 (なつ)印→入金→オーナーへの送金と鍵の受け取り→お客様へ引き渡し
大まかではありますが、このような流れになるでしょう。ここで、オーナーが入居申し込みを断るタイミングとしては、内覧後、申込書を受け取った後が一般的かと思います。

2.不安要素の強い入居者は後が大変!

物件によっては、所得のかなり低い方や、保証人のいないお客様も申し込みをする可能性は十分にあります。仲介業者に押されて 、不安な要素の多い人を入居させてしまうと、後々、家賃滞納や入居者間の問題が発生して退去させることにもなりかねません。そうなってしまうと、オーナーが非常に大きなストレスを抱えることは目に見えています。実際、そのような状況に苦しむオーナーを、私自身が何度も見てきました。中には、半年も家賃滞納されながら、請求できずにただ待っている方もいらっしゃいました。

3.入居を断るかどうかの目安とは

申し込みのタイミングで断る場合は、家賃に対して年収が見合っているかどうか、しっかりとした保証人をつけられるかどうかが、基本的な目安となるでしょう。
さらに、仲介会社の営業マンが、自信を持ってオーナーにおすすめできるお客様かどうか。接客していて、会話が不自然な人や常識のない質問や交渉をしてくる人は、たとえ大企業に勤めていて保証人が公務員や大企業の社長だったとしても、断ることを視野に入れるべきです。収入や保証人の面で何の問題もなくても、入居後ささいなことでクレームを付ける人もいます。やはり、そのような人には住んで欲しくないものです。
オーナーは直接案内しなければ、お客様と会うタイミングは入居後なので、仲介会社から仕入れる事前の情報が非常に貴重です。そのためには、オーナーと営業マンが日ごろから信頼関係を築くことが大切と言えるでしょう。

4.こんな入居希望者には慎重に

まず、急な入居を希望するお客様には、慎重に対応したほうが良いです。
職業や引越しの理由、保証人の内容を確実に把握し、借主・保証人ともに、自分で確認の電話をしましょう。管理を任せている場合は、借主・保証人へコンタクトを取ってもらうよう管理会社にお願いして、きちんとその作業を行ったかどうか確認を怠らないようにします。
入居を断る理由としては、次のような場合が考えられます。ここに挙げるのは一例で、他にもさまざまな理由があると思われます。

  • 年収や勤続年数が心もとない
  • 引越し理由が怪しい(夜逃げなどの可能性)
  • 保証人がいない
  • 保証人がいるが、かなり遠方である
  • 単身者しかいない物件にファミリーで申し込み
  • 入居希望者が精神を患っているなどの場合
  • 虚偽の申し込み(本人や保証人確認で発覚)
  • 夜の飲食店に勤務している
  • 家賃や初期費用をやたらに値切ってくる(お金がない、あるいは性格の問題)

とはいえ、あまり厳しい審査基準にしてしまうと、不動産会社は案内しにくくなるので、見極めは非常に難しいところです。
例えば、本人が転職したばかりで、保証人が親で年金生活者だったとします。そのようなケースでは、保証会社を間に立てればOKとする選択肢も、持つべきだと思います。ただし、本人がきちんとした人で仕事を続けることができそうな場合に限定します。仕事が決まっていない無職の状態で、かつ保証人が年金生活者のみという場合は、断るか、もしくは保証会社の審査が通ればOKとするケースもあります。
また、本人が年金生活者の場合は、単にそのことだけを理由に断らず、例えば前職を聞いて公務員やきちんとした企業で貯金がしっかりあって年齢も60代であれば、審査を通すことも多いです。

5.断るタイミングはいつが良い?

申込書を受け取ったら、すぐに確認して、入居を認めるか断るかを一日か二日程で判断します。できれば、申し込みをいただいたその日がベストです。仲介業者へのレスポンスは迅速に。申し込みの翌日か翌々日くらいにはしましょう。
仲介業者は、入居を断られた旨をお客様に連絡する際、率直に謝罪し、次の物件を調べ早急にご紹介するようにしています。ここで、申し込みから一週間も経過してから断られると、入居希望者は部屋探しの意欲がかなり削がれてしまいます。また、返事を先延ばしにしてから断ると、お客様から仲介店へのクレームにつながります。そうなってしまうと、営業マンは、そのオーナーの物件の案内を、今後渋ることにもなりかねません。
仲介業者が次の行動に早めに移れるよう配慮することは、オーナーの印象を悪くしないポイントです。オーナー側の事情から考えても、また募集を依頼しなければいけないので、早めに判断すべきだと思います。
仲介業者は、一度断られても他の物件を提案するので、入居者の引越しの意欲さえ無くならないよう対応できれば良いということです。

6.断る時は率直に、ひと言を添えて

もし、そのお客様を断る時は、ハッキリと断って構いません。「すいません、今回は本人の仕事が不安定そうなのと保証人様もいらっしゃらないということなのでお断りさせていただきます」と率直に理由を伝えます。仲介業者は、よほど条件の悪い人であれば、断られるかもしれないことは、わかっているはずです。
その上で、「せっかくご案内いただき、申し込みまでいただいたのに申し訳ありません」と必ずひと言添えましょう。営業マンにすると、申し込みまで進めることはなかなか難しいことなので、そのことへの配慮は必要だと思います。
自分の物件を案内してくれたことに感謝の意を示しつつ、断る理由をはっきりと示すのが最善の方法です。断るタイミング、断り方を間違えてしまうと、不動産経営の今後に響くので注意が必要です。

7.そもそも募集の際に伝えたいこと

募集を依頼する時に注意したいのは、制限条項があれば事前に伝えておくことです。
申し込み後に断るよりも、募集開始の段階で、審査を通す条件をある程度仲介会社へ伝えておくことが、お互いにとってスムーズでストレスがないと思います。
年収や年齢、常識のある人など、希望はいろいろあると思いますが、条件としていちばん多いのは年齢です。私のいる地域の不動産事情では、おおよそ70歳以上のご高齢のお客様が一人で入居すると、その後が心配なのでお断りする物件も多くあります。また、学生ばかりの物件に年配の方が入居してしまうと、生活リズムが違うために後々クレームに発展することもあります。
仲介店に募集を依頼する際に、年収がいくら以上と条件を付けるのは難しいですが、ある程度の制限をあらかじめ設けたほうが良いと思います。そうしておけば、案内するお客様は決まってくるか、あまりにも入居が難しそうなお客様は紹介されにくくなります。

8.優秀な営業マンは断られない

ここまで入居希望者を断る話を書いてきましたが、そもそも私の勤務する仲介会社では、私も含め入居を断られたことが10年勤めて数回あるかないか、といった頻度です。
断られるのは、営業マンがお客様の状況をきちんと把握していない、オーナーへ事前にある程度の情報(仕事内容や保証人の情報など)を伝えていないなど、営業マンの接客の仕方に問題がある場合がほとんどです。仕事のできる営業マンは断られない、断れられるような紹介の仕方をしないと思います。
わかりやすく言うと、入居者の情報や物件とオーナーの情報を一切調べずに案内することが問題なのです。なのでオーナーは理由がしっかりしていれば、1~2日の間で断りの連絡を入れて問題ないと思います。

まとめ

  • 収不安な要素の強い入居者は、後で大変な思いをするので断ることを視野に入れる。
  • 年収や保証人が良くても、人間性に問題がある場合は要注意。
  • 急な入居希望者には、慎重な対応を。
  • 入居の判断、仲介業者への返事は迅速に。
  • 断るタイミングと感謝の気持ちで、仲介業者との関係を保つ。
  • 募集の段階で、ある程度の条件を仲介業者へ伝えておく。
  • 仕事のできる営業マンは、断られるようなお客様を紹介しない。

上記を踏まえ、もし断る場合は、お客様がその物件を気に入ってくれたこと、お客さんを連れて来てくれた営業マンに感謝の意を伝えましょう。断るか入居していただくかとは全く別の問題です。
正当な理由を示し、断った数日後に店を訪れるなどのフォローをすれば、その後もスムーズな関係を保つことができると思います。そのような配慮ができるオーナーは営業マンに好かれるので、その後もご案内の回数は増えて行くと思います。
逆に、あまりに上から目線や、お客様に失礼な言い回しをしてしまうと、言葉は悪いですが「クセのある大家」と不動産業者の中でレッテルを貼られかねません。
オーナーが物件の募集をして、お部屋探しをするお客様がいて、それを手伝う営業マンがいる。この三角関係が崩れることはありませんので、そこを念頭に賃貸経営をしていくと、今後の運営がスムーズになると思います。

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