両親から大家を引き継いで約10年。大家の仕事に関わっていると、玄関ドアのかぎなど防犯に関する入居者さんの意識に違いがあるものだと感じることが多いです。
今回は入退去時のかぎの交換と大家側の対応についてまとめました。
1.かぎの交換代はいくらに設定していますか
かぎの交換代は、平均で5,000円~10,000円くらいが相場と言われています。
かなり幅がありますが、最近はセキュリティー上、複雑なかぎを用意する例もあり、
ディンプルキーと呼ばれるものであれば15,000円前後します。
当アパートでも、初期費用として通常5,000円でかぎの交換を入居者さんへお願い
していますが、「高い」と拒否されることが、たびたびあります。
お願いしている不動産会社でも防犯上の問題とお伝えしていますが、最後には「自分で行います」と譲らずお任せするという状況になります。
万が一の場合に備えて、合かぎを作ることをお願いすると、やはり交換されていなかったという方もいらっしゃいました。玄関ドアの外は公道です。例えば、前の入居者が落として、誰かに拾われたというケースも考えられます。
こういった方は、自分の家族以外の人が合かぎを持っている可能性について、気に留めないようです。
また、逆に一般的なかぎに不信感を持って、自分の費用でセキュリティーの高いかぎを付ける方もいます。このような場合は、入居者が不安を抱えているので、大家としては「皆と同じに」と無理強いすることもできず了承しています。
このように入居者の個々に任せている私は珍しいかもしれません。
2.かぎの交換はどう対処していますか
私がいつもお世話になっている、かぎ屋さんに伺ってみた事があります。
「ほかのアパートでは、かぎの交換に関するトラブルは起きていませんか?」
お話によると、入居者が勝手にかぎを交換し、緊急事態などが発生した時に室内へ入れなかったケースが度々あるそうです。この場合は緊急性を最優先して、家族や保証人の同意などのもとに解錠するとのこと。
また、オーナーの意識にかなり差があることを常々感じ、危険に思っていることがあるそうです。
それは、鍵の使い回しです。
例えば1号室と5号室が退去してかぎを交換する時に、新品に交換せず、両方のかぎをかぎ穴ごと交換し、使い回すやり方をされている人が多いとのこと。
この場合、建物が特定されると、どれか一つの部屋は解錠されてしまいます。かぎ屋さんから見て、この危険なやり方は納得できないということです。
インターネットで「アパート かぎ 使い回し」で検索すると、実例が出てくるほどです。
「高額なかぎ交換代を請求しながら、古いかぎを渡された」という記事も目につきます。
これから新しい生活を送ろうとしている入居者さんに、使い回しの中古のかぎを渡して信頼を失うぐらいであれば、やはり新品に交換された方が良いのではないでしょうか。
3.一般的なかぎの紹介
現在、一般に使われているものとして次のような2タイプがあります。
- ディスクシリンダーキー
一般的に「かぎ」というと、いちばんよく見かけるタイプです。
しかし残念ながら、このタイプが最もピッキングに弱いとされています。当アパートも、新築時は全室このタイプでした。
- ディンプルキー
次に紹介するのが、私が現在ほとんどの部屋で利用しているタイプです。上記のものと違い、表面に凹凸の穴があり、この組み合わせによって防犯上優れているといわれています。
もちろんおすすめはこのディンプルキーですが、かぎ屋さんに伺うと、なかなか普及しないとのこと。一番の理由は費用です。上のディスクシリンダーキーであれば数百円程度で気軽に合かぎを作ることが可能ですが、ディンプルキーなら安くとも10,000円前後は必要です。そのため一般住宅では、なかなか普及しないようです。
しかし、安全は、もはや“タダ”ではない時代です。高額でも新品で安全なカギを入居者さんに渡すのが、一般的になってほしいものです。
まとめ
- 入居時に請求する、かぎの交換代は5,000~10,000円が相場。「高い」と応じない入居者もいる。
- 入居者が勝手にかぎを交換して緊急時にオーナーが入室できないトラブルも多い。
- 大家の中古かぎの使い回しは、安全上の問題と入居者からの不信感につながる。
- 一般的なタイプはディスクシリンダーキーとディンプルキーで、後者は高額だが安全性が高い。
- 安全はお金に換算できないので、費用をかけても守る意識を大家も入居者も持つべき。
オーナーにとって入居者の安全を守ることは何より大事で、その意識を入居者の方とも共有できれば、よりよい賃貸経営になるでしょう。玄関ドアのかぎに関して、いま一度見直していただくことをおすすめします。