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ペット不可物件で入居者のペット飼育が発覚! 大家としてできる6つの対応について

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ペット不可物件

賃貸アパートなどを経営する場合、ペットの飼育を禁止にすることも多いです。ところが、ペット不可にもかかわらず、入居者が勝手にペットを飼っていることが判明するケースがあります。その場合、大家としてどのように対処することができるのでしょうか?
また、ペット不可の特約を賃貸借契約に書いている場合と、書いていない場合とで、対応は異なるのでしょうか。
そこで、今回はペット不可物件で入居者がペットを飼っていた場合に、大家ができることをご説明します。

1.まずは、契約を継続するかどうか検討する

ペット不可物件で、入居者がペットを飼っていることが明らかになったら、まずは契約を継続するかどうかを検討しましょう。
ペットの飼育をやめてくれたら契約を継続しても良いと考えるか、ペット飼育を周囲に秘密にしてくれたら契約を継続しても良いと考えるか。あるいは、契約違反をされた以上、契約を解除せざるを得ないという結論に至ることもあるでしょう。
まずは大家としての対応を検討する必要があります。

2.入居者にペットの飼育を注意する

対応を決めたら、入居者に注意することが必要です。たとえ契約を継続するとしても、契約違反ではありますから、ひと言釘を刺しておかないと今後の関係に響くことが懸念されます。

3.契約を継続する場合は、条件を交渉する

契約を継続しても良いと考えるなら、そのための条件を入居者と話し合う必要があります。
たとえば、ペットの飼育をやめることを条件とするならば、それを入居者に伝えてペットを手放してもらう必要があります。
ペット飼育をやめなくても、周囲に知られないようにするなら継続して良いとする場合も、やはり契約継続の条件を話し合って決めなければなりません。これまではペットを飼育しないことが前提の賃料でしたが、ペットの飼育を認めると部屋の摩耗や汚れが激しくなることが予想されるため、賃料の値上げなどを検討する必要があるでしょう。
 

4.賃貸借契約を解除する場合

ペット禁止物件で入居者が勝手にペットを飼っていたら、賃貸借契約を解除することが考えられます。どのようなケースでも契約解除は認められるのでしょうか?
賃貸借契約における賃借人は、借地借家法という法律によって強力に保護されており、大家は簡単に契約解除をすることが認められていません。
ただ、多くの裁判例では、ペット禁止特約のある物件内で賃借人がペットを飼うことは、契約の解除事由になると認めています(東京地裁平成7年7月12日など)。
したがって、このようなケースでは基本的に、契約を解除して相手に出ていってもらうことが可能です。ただし、そのためには賃貸借契約書内において、ペット禁止特約が明示されていることが必須です。特約がない場合には、解除をしても有効にならず、裁判を起こしても入居者に出ていってもらうことはできません。なので、ペット不可物件として賃貸借契約を締結する時には、必ず契約書内にペット禁止特約を入れておく必要があります。
解除する手続きとしては、賃借人に対し、内容証明郵便によって賃貸借契約の解除通知を送付しましょう。

5.原状回復費用を請求する

ペットを飼われていた物件では、ペットによって物件内が汚されたり破損されたりしていることがあります。この場合には、契約を解除する際に、損害賠償請求として原状回復費用を相手に求めることができます。
原状回復費用として請求できるのは、ペットの飼育と因果関係がある範囲の損害です。たとえば、ペットのにおいを除去するための費用や、ペットの毛や羽根の落下による建物への付着、ペットがかんだり引っかいたりしたことによる建物の破損、糞や尿による汚染やシミなどの除去・消毒にかかる費用などが含まれます。
原状回復費用の範囲については、ケースごとの判断が必要であり、必ずしも、床や壁の全面張り替えなどにかかる費用が含まれるとは限らないので、注意しましょう。

6.違約金を請求できるのは?

それでは、ペット不可物件でペットを飼われていたとき、原状回復費用を超えて違約金を請求することはできるのでしょうか?
これについては、賃貸借契約書内に違約金の特約が含まれているかどうかによって、結論が変わります。違約金条項がある場合には、基本的にその内容に従った支払いを求めることができますが、その定めがない場合には、違約金の請求はできません。
そこで、ペット不可物件として物件を賃貸する場合には、賃貸借契約書に違約金条項を定めておくことをおすすめします。

まとめ

今回覚えておきたいことまとめ

  • ペット不可物件で勝手にペットを飼われたら、まずは契約を継続するか解除するかを決める。
  • 契約を継続する場合、継続のための条件を賃借人と話し合う。
  • 契約を解除するためには、あらかじめ賃貸借契約書にペット禁止特約を明示しておく必要がある。
  • 契約を解除する場合は、内容証明郵便で解除通知を出す。
  • 契約を解除する時、相手に対して原状回復費用を請求できる。
  • 違約金を請求できるのは、賃貸借契約書に違約金の条項が入っている場合である。

以上のように、ペット不可物件でペットを飼われていたら、ケースによってさまざまな対処が必要です。今回の記事を参考に、賢明に対処しましょう。

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